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★令和6年度 長野県中学受験 適性検査Ⅱ 傾向と対策
〈適性検査Ⅱについて〉
問1:タンポポの発芽と成長に必要な要素についての設問
タンポポの種子について考える場面で、実験結果を比べて考察したり、実験の意図を明確にしたりしながら思考力と判断力を表現する設問でした。昨年は会話文の中で与えられている情報から思考を深めていく問題でしたが、今年は実験結果とわかったことをまとめた資料から考察をしていく問題でした。(1)①は割合の計算でしたが、データを正しく読み取ることができれば容易な計算になります。(1)②③は与えられた実験結果とスケッチを正しく読み取り、数字や用語をそのまま書き抜きさえできれば正解できます。また、(2)は植物の問題でよく見られる「対照実験」の目的が理解できていれば、正解することができます。いずれの問題も資料やデータを読み取れれば正解することができ、難易度は易しいものでした。時間をかけすぎずに、次の問いに進んでいきたいです。
問2:ヒンメリの作り方を考える設問
ヒンメリを作る場面で、指定された条件に合うように麦わらの本数や辺の長さを計算したり、左右の重さが釣り合うように組み合わせを考えたりする問題です。(1)に関しては、与えられた図と会話文を照らし合わせることができれば、複雑な計算は必要なく、容易に解くことができます。図の中において同じ点と違う点に注目する力が問われていました。
(2)ではすぐに答えが浮かばなかったとしても、具体的な数値を入れてみて、長さと本数の組み合わせを検証することで答えに辿り着くことができます。(3)は左右が釣り合う組み合わせを与えられた図をヒントに考えていく問題です。何度も組み合わせを思考することは大切ですが、ここで時間を使いすぎないように途中で切り上げる能力も必要です。最後の問いまで到達できるような時間配分を決めておくことが大切です。
問3:プロペラで動く車についての設問
ゴムとプロペラで動く車を、実験の条件を変えたり結果を考察したりすることで、より長く進むようにする方法を考える設問でした。(1)②では平均の値を出す理由を記述する必要がありました。学校で習っていることに対して、「なぜそうするのか?」という問いを常に立てて、理由を正しく理解しておくことが求められます。実験結果で正しく比較をするためには、比較したい要素だけを変更して、その他の要素は共通させることが必要です。条件の中で、固定するものと変えるものを正しく見極められると(2)②では完答することができます。与えられている文量とデータの数が多く、必要箇所を何度も探すことなく、ピンポイントで探しにいけるかが解き切るための鍵になります。データを見る時には、何のためにデータを見ているのかの目的意識を持つことが必要になるでしょう。
問4:ケーキのクリーム量を等しくする切り分け方を考える設問
四角いケーキの表面に塗られたクリームの量が同じになるように3等分する場面で、辺の長さや面積に注目してきまりを見つけることで、そのきまりを異なる場面で活用していく設問でした。(1)④では、ケーキを3等分する場面で、縦の長さがどれも4cmであることから、横の長さが3つとも統一されれば面積も等しいとわかります。そのことから、ケーキは1辺15cmの正方形であり、周りの長さは15×4=60cm。その長さを3等分すれば良いので、1つの横の長さは20cmにすれば良いとわかります。ここで、「高さが等しい場合は、横の長さを揃えると面積は等しくなる」というきまりを導き出すことができます。このきまりを見つけて活用することができれば、(2)でも得点に繋がりました。特に(3)③では5等分する場面なので、正方形の中心に向かって切ることで高さを揃え、周りの長さの60cm÷5=12cmを一つずつの底辺にすることができれば全ての面積が等しくなるとわかります。
問4の配点は30点あり、(3)の配点は16点でした。(1)(2)を解き進める中で、きまりを見つけながら、スピード感を持って進められるかがポイントになります。
〈適性検査Ⅱ まとめ〉
適性検査Ⅱでは日常生活や社会的問題に対して、筋道を立てて思考したり、表やデータから必要な情報を取り出して比較したりする数理的な処理能力が求められます。
これまでの長野県の適性検査では日常生活に関連した出題がされています。
学校で習う算数や理科の公式を使って正しく計算する力を養うことはもちろん必要です。適性検査で高得点を取るためにはそれに加えて、身近な事象に対して論理的に考えて思考・判断・表現力を活用していく力を伸ばすことが大切です。
論理的に、数理的に物事を捉える能力は一朝一夕で身に付くものではありません。学校生活、家での生活において「自分で考える時間」を積み重ねていくことが必要です。今では調べればすぐに答えを得ることができ、自らで思考する機会が失われつつあります。そのため、意図的に思考する時間を作り出す努力が大切です。ニュースや新聞で出てきた話題や学校で習ったことについて、家庭内で話し合う時間を設けると良いでしょう。子どもが「なぜ?」と問いを立てて自分なりに考えてみることで思考力と判断力が養われます。そして、導き出した答えについてを共有するときには表現力が高まります。それらの力は適性検査のみならず、変化の激しい現代社会を生きていく上では必要な能力です。普段の生活から積極的に筋道立てて思考する時間を作り、その取り組みを継続していきましょう。