上田駅前校
東京大学 入学式 祝辞より【KATEKYO 上田駅前校】
毎年4月12日は東京大学の入学式です。その中、今年の入学式の上野千鶴子さんの祝辞が話題となっています。みなさんはすでに読まれたでしょうか。
今回、上野さんが新入生に伝えた祝辞の中には様々なメッセージが込められています。上野さんが「女性学のパイオニア」と言われるだけあり、女性学目線での部分も多く含まれていましたが、我々教育業界関係者が考えさせられる言葉も織り込まれていました。
ここで、上野さんの祝辞の言葉を引用させていただき、上田駅前校に通う生徒さんやその保護者の方に私が感じたことをお伝えしたいと思います。
<生徒の皆さんへ>
【皆さんが学習をしている意味を見つめなおしてください】
”あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。”
“あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。”
今後、皆さんの学習は、「思考力」や「判断力」「表現力」を伸ばす教育にシフトしていきます。それはなぜだと思いますか?私が思う答えは「社会という答えのない世界でも生きていけるようにするため」です。皆さんは今、答えのある問題に取り組んでいますが、社会に出ると、答えがない問題に対峙することとなるでしょう。その時に、今現在皆さんが身につけようとしている思考力・判断力・表現力が生きてくるのです。学校でも「自分の考えを述べたり、相手の考えを聞いたりする授業」があったり、「テストの中であなたの言葉で解答する問題が出題」されたりしていますよね。それがすべて社会に出るための訓練なのです。勉強をするのは親のためではありません。これからもっともっと多様化する世界を生き抜くために日々の学習に取り組んでください。
<保護者の方へ>
【お子様の可能性を見つけてあげてください】
”ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんのお父さんは、「どうやって娘を育てたか」と訊かれて「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えました。”
”あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。”
私が普段、生徒さんや保護者の方と面談をしていても「女の子だから浪人はさせたくない」「妹は短大でもいいけど、お兄ちゃんは男の子だから大学くらいは出してあげないと」という言葉をよく聞きます。今回の祝辞で上野さんはそれを「親の性差別」と表現しました。もちろん保護者の方が差別をしているという認識は全くないと思います。しかし、私自身も普段の面談で、何気なく親御さんがお子様に発した言葉が、差別までいかなくとも実はお子様の心に強く残っているのだと感じる場面がよくあります。だからこそ、保護者の方はお子様の考えを否定せず、受け止め、お子様の可能性を見つけてあげてほしいと思います。進路の話をするうえでも、否定的なことは言わず、「なぜその進路を選択したいのか」「そのためにはどれくらい努力しなくてはいけないのか」など、お子様と向き合って背中を押してあげてください。
また、日々の生活の中でお子様の努力が感じられたら、それを評価し、たくさんほめてあげてください。もしお子様が反抗期真っただ中の高校生だとしても、褒められることを嫌がるお子さんなんていません。「勉強しなさい!」は逆効果。イソップ童話の「北風と太陽」のように、お子様が自主的・自動的に勉強をするような環境を整えてあげるのも親御さんの役目ではないでしょうか。