篠ノ井駅前校
2020センター試験 数学ⅠA考察 【KATEKYO学院 篠ノ井駅前校】
長野市 篠ノ井のみなさんへ
2020センター試験が終了し、いよいよ来年度より、大学入学共通テストに変更されます。
しかしながら、あえてこの段階でセンター試験『数学ⅠA』の問題考察をします。
もし、よろしければ最後まで見てください。
来年度の共通テスト対策ができるかもしれません。
【第1問】 2次不等式・集合と命題・2次関数
[1] 2次不等式
(1)直線の傾きやX切片の符号の条件から2次不等式を解く問題。
(2)グラフから条件を考える問題と分数式の有利化問題。
*(1)も(2)ともに条件やグラフからイメージができれば、比較的易しい問題だったと思われます。
しかしながら、あまり見かけない問題だったせいか、解けなかった生徒も多くいました。
いきなりこういった問題が出てくるとは、予想しづらかったのではないでしょうか?
[2] 集合と命題
3つの数の倍数の集合について、包含関係を考察する問題。
4,6,24の最小公倍数である、24までの自然数の分布を考えることで結論が得られる問題。
(3)で与えられている値が選択肢のいずれかの命題についての反例であるかを問われており、目新しい問題でした。
*[2]も例年並みのよく出る問題で易しかったと思われます。
[3] 2次関数
放物線の平行移動に関する問題。
*(1)の線分とグラフGが、共有点をもつような値の範囲を求める問題が少し難しく、出来なかった生徒が多かったと推測されます。
(2)は放物線の軸と頂点を正しく求めることができれば、解きやすい問題だったはずです。
【第2問】 図形と計量・データの分析
[1] 図形と計量
三角形が与えられ、それぞれの角の三角比や辺の長さなどを求める問題。
*角の二等分線の性質を利用できるかどうかがポイントだったと思います。例年通りの標準問題でした。
[2] データの分析
(1)は個々の事柄に対する正誤判定をおこなう問題。
(2)からは平成27年の男女の市区町村別平均寿命のデータを利用したデータ分析の問題。47都道府県のデータが箱ひげ図で与えられている。
(4)は与えられた散布図を正確に読み取り、平均寿命の差のヒストグラムを選択する新傾向の問題。
*(1)は極端なデータを考えられれば簡単でしたが、その発想が出なければ苦戦しそうな問題でした。
(2)~(4)はデータを読み取っていけば簡単でしたが、しかし(4)は新傾向の問題だったので、読み取り方が分からず、得点を落としてしまった生徒が多かったと思います。
【第3問】 場合の数と確率(選択問題)
[1]選択肢の中で正しい記述を指摘する問題。
[2]コインを投げ、表裏で得点の増減がある試行に関する問題。
(3)までは個々の事象に関する確率の計算
(4)条件付き確率に関する問題。
*[1]は、これまでにない出題形式でした。それぞれの選択肢について、確率を丁寧に求めていけば難しくはないが、形式の変化に惑わされた生徒も多かったと思います。ものを選ぶ問題は共通テストでも増えていくと思われます。
[2]もよく出る標準問題だったが、(3)の引っかけ問題に対処できなかった生徒もいたと思います。
【第4問】 整数の性質(選択問題)
n進数の循環小数に関する問題。
(1)で簡単な場合である10進数の計算をおこなう。
これをヒントに(2)で7進数の循環小数に関する考察を進めるが、結局のところ1次不定方程式の整数の解を決定する問題。
*題意が読み取ることができれば計算は少なく易しい問だったと思います。しかし、読解力がない生徒は躓くパターンです。
【第5問】 図形の性質(選択問題)
線分比と面積比、角の大きさの関係などを、平面図形に関する基本的な定理から導く問題。
*チェバの定理、メネラウスの定理、方べきの定理、方べきの定理の逆、円に内接する四角形の性質などの基本的な定理、性質を正しく運用していけば解き進められる標準的な内容でした。
【総評】
とりあえず、予想問題集を解いていたという生徒や、過去問を解いていた生徒には解けない問題もおおかったのではないでしょうか?
また、新傾向の問題で動揺して点を落としてしまう生徒が多くいました。
しかし、落ち着いてよく考えていけば解けていた問題がほとんどだったと思います。
数問の新傾向問題を除けば、ほとんど例年並みのレベルの標準問題でした。
それにも関わらず、全国の平均点が51.88点で前年比-7.8点となってしまったのは、原因があるのではないでしょうか?
新傾向の問題でものすごく動揺してしまったのか?
センター試験の課されない推薦入試で合格した生徒が多かったのか?
【今後の対策 新大学受験生向け】
2020センター試験『数学ⅠA』は、大学入学共通テストの先取りのような入試でした。
読解力、処理能力などの力も必要だったと思います。
大学入学共通テストの数学の作成方針が
数学的な問題解決の過程を重視する。事象の数量等に着目して数学的な問題を見いだすこと、構想・見通しを立てること、目的に応じて数・式、図、表、グラフなどを活用し、一定の手順に従って数学的に処理すること、及び解決過程を振り返り、得られた結果を意味付けたり、活用したりすることなどを求める。また、問題の作成に当たっては、日常の事象や、数学のよさを実感できる題材、教科書等では扱われていない数学の定理等を既知の知識等を活用しながら導くことのできるような題材等を含めて検討する。
これは、記述式問題が見送りになっても変わっていない方針です。
そうであってもまずは、計算力と基本的知識を身につける必要があります。
基礎がなく応用力、思考力は身につきません。
まずは早めに基礎固めをしていき、今の段階で躓いているところがあれば、早めに解決しましょう。
大学入学共通テストの戦いはもう始まっています。
▶令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針
▶令和 3 年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等