松本桐校
松本市 学習塾【KATEKYO 松本桐校/長野県家庭教師協会】★信州大学医学部医学科 地域枠について解説
ここでは地域枠(長野県内枠推薦入試)について解説いたします。
信州大学医学部医学科の入試には、地域枠(長野県内枠推薦入試)があります。この入試は、将来、長野県の医療を支える医師になると決意している方を対象にした入試制度であり、平成17年4月の入学者から実施しています。定員120名中、現役生、既卒生の25名の枠が用意されています。長野県内の高校に用意された指定校推薦のようなものです。通常の指定校推薦ならば、合格率ほぼ100%ですが、長野県内枠推薦入試はそうではありません。
この入試の選抜方法は、一般入試で課せられる個別学力検査が免除され、センター試験、調査書、推薦書、志願理由書、面接の結果を総合して選抜しています。2020年度から、地域枠と地元出身者枠で分けた選抜方法を実施しています。
〈地元出身者枠と地域枠の違いとは?〉
さて、地元出身者枠と地域枠は何が違うのか?それは、奨学金と医師免許取得後の働き方に違いがあります。奨学金については、下記の〈地域枠のメリット〉の項目に記載しております。長野県医学生修学資金は、地域枠で合格した生徒が貸与されます。そのため出願時に、国家試験通過後、長野県の医療機関で従事する確約書を提出する必要があります。
地元出身者枠で合格した生徒は、長野県からの修学資金がないため、医師免許取得後の進路は自由に選択できます。ただ、どちらも推薦要件に『長野県の医療を支える医師となる強い意志を持ち・・・』と入っているので、ぜひ長野県の医療機関に勤めてもらいたいです。
また、地元出身者枠と地域枠は併願が出来ます。合格判定は、上位者から判定していくので、出願時にどちらを第1志望にするのかしっかり考えて出願したほうが良さそうです。
〈出願条件のポイント〉
1.評定平均値
高校の学習成績概評(評定平均値)がA段階に属していること。
長野県内の高校を卒業見込みの現役、または1浪のみで、評定平均A段階であることが絶対条件となります。A段階とは4.3以上の評定平均のことを指します。評定平均値とは、高校1年の1学期から出願時(通常は高校3年の1学期)までの成績の平均値のことをさしています。全教科の成績が対象にされているため、まんべんなく良い成績を取れる生徒さんのほうが評定平均値は高くなるのが特徴です。つまり、受験科目だけでなく、「芸術」、「保健体育」、「情報」などでも高い成績を維持する必要があり、膨大な努力が必要になります。まずはここを突破することが地域枠受験のための第一目標となります。
2.一校あたりの推薦者数
各高校が推薦できる人数が決められています。
現役生・既卒生含め7名まで(既卒生は1浪まで)
評定平均値が4.3以上あれば、推薦を必ずもらえるのかというとそうではありません。前提条件として、4.3以上の評定を持っている生徒で学校内で選考していくことになるので、7名以上の希望者がいれば、評定平均が4.3では選考に残っていくことは難しくなります。評定平均値が4.9以上の生徒での熾烈な選考になっている高校もあります。入学した段階から、高校でトップを取り続けるという意識付けが必要になります。そして、主要教科だけではなく、体育や音楽などの技能教科も非常に重要になっていきます。ここは、長野県公立高校入試と同じですね。
校内選考は各高校の判断に委ねられています。面談を行う高校もあり、将来の目標や意欲をしっかりと確認し、選考していきます。推薦書の中に、「長野県の医療を支える医師となる強い意志を持った者として推薦する理由」を高校側が記入する欄があります。信大医学部医学科へ入学、そして卒業後のビジョンを明確にしておくことも重要です。とはいえ、一番重要で判断しやすいのが、評定平均です。ある高校で、評定平均4.9を取っている生徒でも難しいかも!?と進路指導の先生から言われたそうなので、常に頑張らないといけませんね。
〈合格判断基準〉
推薦された場合、12月に面接試験、1月に大学入学共通テストを受験します。評価の比重は、面接の評価が、著しく低い場合は不合格となることがありますが、共通テストが最も重要になります。共通テスト合計点900満点(5教科7科目)の得点率80%以上(720点以上)の方から合格者を選抜します。
つまり、80%では不合格になる可能性が高いということです。ボーダーラインとなる点数は難易度にもよりますが、85~83%ほどの年が多いです。
試験として面接もありますが、「面接の評価が著しく低い場合は、不合格とすることがある」という程度ですので、やはり共通テストの高得点なくして合格できません。
〈地域枠のメリット〉
信州大学医学部医学科は、一般入試において、共通テストより個別学力検査の配点の方が大きく、いかに2次力をつけられるかが勝負になります。地域枠の推薦者は学力検査は共通テストのみになりますので、対策が直前まで行えます。
合格発表も一般入試と比較すると、1ヶ月ほど早いため、入学後の準備も2月からしっかり行えます。入学してからが大変ですからね。
また、地域枠の合格者は、長野県内の医療機関に従事するという意欲があれば、長野県医学生修学資金が優先的に貸与を受けることができます。(最大15名)これは、県が指定する医療機関における業務を貸与期間の1.5倍に相当する期間従事すれば、返済が免除されるというものです。
〈参考までに今春の合格者はどのような勉強方法だったのか紹介します〉
今春、地域枠で合格した生徒さんに、どのような勉強法を行ったかヒアリングを行いました。
高1,2年時には、学校の進度に合わせて学校で配布される問題集を反復演習しました。夏休み等の長期休みには、市販されている問題集で復習を徹底してやりました。3年夏休みまでは学校の内容を完璧に仕上げる。そこから、入試問題や応用問題を解き、11月頃から、面接練習も並行し、センター対策をしていき合格圏まで到達しました。
上記の生徒を見てきて言えることは、高校1年生、2年生は基礎力をつけることです。学校で配布される問題集を徹底していけば、自ずと評定平均もついてきます。
国立大学の医学部医学科の中には、地域枠といっても、県内の高校出身者でない人も受験できる大学もあります。信州大学の地域枠は長野県の生徒しか受験できません。長野県の医療を支えたいと強く思っている生徒は、ぜひ目指してもらいたいです。
<信州大学 医学部地域枠 令和3年度試験日程>
出願期間:2021/11/22(月) ~11/26(金)
試験日:2021/12/3(金)
大学入学共通テスト
第1日程:2022/1/15(土) ・16(日)
*共通テストの成績が 900 点満点の 80%以上であった者から合格者を決定
合格発表:2022/2/10(木)
<信州大学 医学部地域枠 最新ニュース>
信州大学医学部推薦入試定員の5名増員を長野県から要請されました。
令和元年度 20名 ⇒ 令和2年度 25名(+5名)
<参考(令和2年度想定)>
定員120名
一般入試 95名、推薦入試 25名(内訳:地元出身者枠 10名、地域枠 15名)
https://www.pref.nagano.lg.jp/doctor/happyou/010619press.html
(2019年6月19日)